2022.04.27
始まりの季節、今年の4月も、もう終わる。
新しい環境、人々に慣れ、緊張感がゆるむ。
そんな時期、こころのメンテナンスに、読書をする。
今月は、複数冊の本を、何度も読んだ。

げんじものがたり

小説で、いちばん好きかもしれない、紫式部の源氏物語。
エキゾチックな平安文化&雅びな喜怒哀楽の表現に、エンタメも満載。
瀬戸内寂聴訳で、ゆったりと読むのは、時間がたっぷりあるときに。
いしいしんじのげんじものがたりは、さらりと軽妙に、奥深すぎる日本の伝統文化を味わえる。
光源氏の語りが、若者らしい京都方言だったりと、楽しすぎる!
ソーニャ、ゾルゲが愛した工作員

日本で一番有名かもしれないスパイ、ゾルゲの恋人だったソーニャの物語。
ノンフィクションだけど、まさに「現実は小説より奇なり」。
世界的なベストセラー「KGBの男 冷戦史上最大の二重スパイ」の作者が、2020年に出した本。
ソーニャ(工作員名)は、第二次世界大戦前後に、英国と米国が共同で研究開発していた原子爆弾の情報を、初期から完成まで、リアルタイムに、ソ連に伝えていた。
なぜそんなことが可能だったのか、今も謎な部分が多い。
その当時、ソーニャは英国の田舎に住み、職業は主婦、子供3人。
家事育児、家庭菜園、隣人にも料理上手で知られていたという。
子供のぬいぐるみの中に無線機を隠して、移動するなどのエピソードが面白い。
日本語訳は、今年2022年2月25日に、初版発行されたばかり。
ソーニャ、ゾルゲが愛した工作員を読んでいる間、脳内でずっと、映画「ミッション・インポッシブル」の世界が展開されていた。
同作者ベン・マッキンタイアーのベストセラーKGBの男 冷戦史上最大のスパイは必読!
フツーに方丈記

いちばん何度も、読み返したのが大原扁理のフツーに方丈記。
鴨長明の名作、方丈記の有名な冒頭。
ゆく河の流れは絶えずして、しかも、もとの水にあらず。よどみに浮かぶうたかたは、かつ消え、かつ結びて、久しくとどまりたる試しなし。
作者による、方丈記の、あたらしい現代語訳が、巻頭にある。
ただひとつ確かなのは、いつかわたしもこの世から出ていくときが来る、ということ。そして次に生まれてくる人と入れ替わる。
地位も名誉も財産も失った鴨長明は、それら社会の常識や価値観に背を向けるかのような、山奥での引きこもり生活、反乱ライフをはじめる。
世論に合わせても窮屈、合わせなければ変人。なんじゃこの無理ゲーは。
作者による方丈記の解釈と、作者自身の生き方(25歳から年収90万円で質素に楽しく生活する)の両方がシンクロ。
自身を「令和の隠居」とする作者の、方丈記の読み解きがとてもいい。
この世界は、心のもちようで、どんなふうにも見える。そのよりどころとなる自分の心が安らかでなければ、どんなに財産があっても、どんなに豪邸に住んでいても、幸せからは程遠いんじゃないだろうか。
作者のテーマ、日々は無常のレッスン/居るだけで全肯定が、しみじみしみてくる。
方丈記原文(総ルビ)が、おまけで巻末で読める。
特に好きなのは、この部分。
春は藤波を見る。紫雲のごとくして、西方に匂ふ。夏はほととぎすを聞く。語らうごとに、死出の山路を契る。秋はひぐらしの声、耳に満てり。うつせみの世を悲しむほど聞こゆ。冬は雪をあはれぶ。積もり消ゆるさま、罪障にたとへつべし。
最後の部分の作者訳は、こんな感じ。
冬はたくさん雪が降ります。手のひらで受け止めると、体温を奪って溶けてゆく。人間がこれまでに犯した罪や間違いも、こんなふうに生まれては積もり、そして消えてゆくんでしょうか。
人間の本質って、800年前から全然変わってない。
読書のおかげで、毎日をささやかに、おおらかに受け入れられる。
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